庭への想いが詰まった「おもてなし」を感じさせる　新築外構　坂井市M様邸

とてもありがたいご縁で、M様にお会いしたのが昨年の11月。

お庭に対する熱い想いをお伺いし、住宅の設計図面を見ながら、

このお屋敷にふさわしい外観になるように心がけました。

住宅は、和風でありながらモダンな要素も含まれていて

設計者の方の想いがひしひしと伝わってくるような外観です。

ｱﾌﾟﾛｰﾁや外からの全体像は、建物の雰囲気を壊さないように高いものは作らず、

そして、年数が過ぎても飽きのこないすっきりとしたデザインに。

それでいて、静かな風格が漂う感じに仕上げました。

入口が家の側面からという事と、和室の窓からの眺めも重視したかったので

階段は庭の手前で作ることにしました。

道路の形状や、一本向こうからの主要道路からの眺め、そして

近くにある母屋から歩いてきたときの景色も考慮しました。

パースでの土の部分に、駐車スペースをお考えということだったので

出入りの妨げになるようなものは、作らないようにしました。

ゆったりと歩いて上がる階段を希望されていたので、どのような形状にしようか

また、どのような素材使いにしようか悩みましたが

玄関ﾎﾟｰﾁにも使用している、黒ミカゲを使用することにしました。

滑りにくいように、バーナー仕上げを使用しています。

水に濡れた姿は黒く艶光し、緑とのコントラストもより一層美しく見えます。

M様邸には、様々な『石』が据えられていて、

水によって表情が変わる和風庭園の奥深さが感じられますが、

このｱﾌﾟﾛｰﾁの御影石もその一つと言えます。

夜は、ﾎﾟｰﾙﾗｲﾄでｱﾌﾟﾛｰﾁを照らし、ﾊﾞｯｸﾗｲﾄ付の表札が門柱にほんのりと浮かび上がり

夜の和庭へと導いてくれます。

階段を上がると、飛び石をうずめたｱﾌﾟﾛｰﾁが庭と玄関をつなぎます。

この部分のｱﾌﾟﾛｰﾁは、和室からの眺めにも影響してくるので

飛び石のみにするか施主様も悩まれていましたが

『積雪』の事も考え

周囲をコンクリートで埋めることにしました。

飛び石１つ１つの表情が引き立ち

存在感のあるｱﾌﾟﾛｰﾁになりました。

こちらもまた、飛び石を埋め込んでいるので、

雨の日や、打ち水をした時の石の表情がなんともいえず素敵です。

工事終盤に、素敵なご縁で突如M様邸に現れた

この愛くるしい形の蘭渓型の灯篭。

本来は、滝や池などの水景の添景として使用されるようですが

M様邸では、和室の前でお客様をお迎えしてもらうことにしました。

火袋の丸い形は、日が昇る東に、 三日月の形は、日が沈む西に向いて据えます。

庭に、赤土で築山を作っていますが 将来は苔で覆われて、

緑と石がつくるしっとりとしたお庭になる予定です。

ｱﾌﾟﾛｰﾁ半ばに、お客様をお迎えするにふさわしい素敵な手洗い石があります。

M様邸の景石や、飛石、植栽は、全て施主様がご用意されたものです。

なかでもこの手洗い石は、この庭作りのメインともいわれる存在。

どの位置に据えるか、また、どのように見せるかを考えました。

ｱﾌﾟﾛｰﾁ、玄関、和室からと、どこからでもこの石を眺めることができます。

玄関へと上がるアプローチは、ポーチ中心ではなく、手前にずらしてあります。

シンプルに仕上がってしまいがちな部分も、アシンメトリーにすることで

奥行きと動きが出て、和の情緒を生み出します。

飛び石のｱﾌﾟﾛｰﾁの横のライン、ミカゲのｱﾌﾟﾛｰﾁの縦のライン、

そしてミカゲの玄関ﾎﾟｰﾁの横のラインが、光が漏れる素敵な玄関扉を

さらに素敵に演出してみせます。

ｱﾌﾟﾛｰﾁの奥には、築山と石で作る、観る庭、魅せる庭を作りました。

お客様用玄関から真正面に見えるように

山灯篭を据えました。

いびつな形をした石の台座に乗っかっているのですが

見事にバランスが保てているのが不思議です。

景石を１つずつ計測し、奥行感が出るように配置。

石に重なる緑がとても綺麗です。

このお庭の植栽は、M様のお父様とお母様が一生懸命植樹されたもの。

アドバイスさせていただいた場所に、これはここ、これはここにと

大切に育ててきた樹木を母屋から運んできて

丁寧に植えられていました。

そして、もう１つ、M様がこだわった「中庭」。

砂利と石の中庭を、建築段階から考えていらっしゃったので

立て方前からこの位置に横たわっていた２つの石です。

大きさもほぼ同じの2つの石を、バランスよく、

どの方向から見てもいい表情が見えるように据えるのは とても難しいですが、

１つを横にして高さのバランスを取り、

１番のメインを和室からの眺めにして据えました。

築山と苔、そして白川砂で『枯山水』のイメージに仕上げました。

波紋はM様が担当。とっても綺麗ですよ！

次第に日が暮れて、ライトアップされていくM様邸。

手洗い石の水に、ぼんやりと灯りが浮かび、

夜の和庭へと移り変わります。

ﾎﾟｰﾙﾗｲﾄ・和風ﾗｲﾄ、ｱｯﾌﾟﾗｲﾄで夜のお庭を演出。

『料亭風』と書かれたメモが思い出されます

素敵です

M様邸は、建築・外構、同時進行で施工させていただき、

大工さんを始めとするたくさんの業者様と共に、

にぎやかに進めさせていただきました。

建築会社様にもたくさんご協力いただいて

無事に完成することができました。ありがとうございました。

そして何より、施主様とご両親様には、

庭屋も尊敬するほどの『庭への熱い想い』に

感謝と感激でいっぱいです。ありがとうございました。

これからも少しずつ変化していくお庭の表情を

ご家族皆様でゆったりと楽しんでいただきたいです。